歯の予防
歯の予防

歯の予防とは、虫歯や歯周病などの疾患になってから治療するのではなく、発症する前に予防することをいいます。
痛みなどの症状が出てから歯科医院を受診する方も多いですが、一度削ったり治療した歯は、治療していない歯と比べてどうしてももろくなってしまいます。
また、1本の歯に対して治療できる回数はある程度限られており、治療を繰り返すことで、抜歯に至るまでの期間が短くなってしまいます。
さらに1本歯を失うと、他の歯に噛む力の負担がかかるため追加の治療が必要になり、その治療では他の歯を削る必要が生じやすく、結果として歯の寿命が短くなるという悪循環に陥ります。
最初は小さな虫歯でも、将来的に歯を失う原因となることがあるため、事前の予防がとても重要です。
歯の予防の基本は、定期的な歯科検診と日々のセルフケアです。
歯科医院では、フッ素塗布、口腔内診査、歯垢・歯石の除去(PMTC)、歯みがき指導などを行います。
セルフケアだけでは歯垢や歯石を完全に取り除くことはできません。きちんと磨いたつもりでも、思わぬ磨き残しが起こるため、定期的なプロケアが大切です。
小さいお子様のゴールは、永久歯の虫歯がゼロであることです。
なぜゼロを目指すかというと、一度虫歯になって治療のサイクルが始まると、高確率で歯を失う可能性が高まるからです。虫歯菌がまだ定着していないお子様では、虫歯ゼロを目指すことが非常に重要です。
虫歯菌に感染しやすい時期は、
とされています。ここまでの時期をしっかり予防できれば、虫歯ゼロを達成できる確率が高くなります。
お口のスキンシップを通して虫歯菌がうつり、虫歯に感染することがあります。
感染しやすい時期には、同じ箸やスプーンの共有をしない、離乳食の際の噛み与えをしないなど、お口のスキンシップを控えることが予防策になります。これにより将来の虫歯の本数を減らすことにつながります。
また、うつさないことと同時に、日頃の歯みがき習慣も重要です。小さいうちは一緒に歯みがきを行い、磨けているか確認しながら仕上げみがきをしてあげましょう。
そして、3歳までの虫歯になりやすい時期までに歯科医院を受診し、予防を進めることが大切です。小さいうちから歯医者さんに通う習慣を身につけましょう。
妊産婦の予防は、妊婦さんに出産前後の歯の健康についての知識を身につけてもらい、出産リスクを高めないこと、そして赤ちゃんの虫歯を予防してお口の健康を守ることを目的としています。
妊娠中に気をつけたいことの一つが口腔ケアです。近年、妊娠中の歯周病(妊娠性歯肉炎)は、早産および低体重児出産のリスクが高まることがわかってきました。
これは妊娠中に増加する女性ホルモンのエストロゲンが関与しているといわれています。エストロゲンは歯肉を形作る細胞に影響し、歯周病原細菌の増殖を促すことが知られています。つまり、歯ぐきが炎症を起こしやすい環境になり、歯周病が進行しやすい状況が整ってしまいます。
妊娠中は唾液の量が減ることも影響し、妊娠中期から後期にかけて女性ホルモンが増加するため、さらにリスクが高まります。出産とともに元に戻りますが、清潔な状態を保つことで炎症を抑えることができますので、プラークコントロールを心がけてください。歯周病は予防可能な疾患です。赤ちゃんのためにも確実な歯周病予防を行いましょう。
また、赤ちゃんの口の中には虫歯菌や歯周病菌は存在しません。虫歯や歯周病になるのは、口移しやスキンシップによってお母さんや家族の細菌が感染するためです。
妊娠中はつわりで歯みがきがしにくくなり、虫歯のリスクが高まることもあります。妊産婦の予防では、こうした知識をお伝えし、必要に応じて出産前に虫歯や歯周病の治療・予防に取り組むとともに、正しい生活習慣を身につけてもらうよう指導します。
母親に虫歯がある子供と、虫歯がない子供を比較すると、母親に虫歯がある子供の方が、2歳時点での虫歯発生率が圧倒的に高いことがわかっています。
つまり、生まれてくるお子様のお口は、お母さんの生活習慣やお口の健康状態の影響を受けやすいということです。
また、大人になったときの虫歯のかかりやすさは、子供のころに虫歯にかかったかどうかが関係しているという報告もあります。
お子様に虫歯菌をうつさないためにも、妊娠中から治療・予防にしっかり取り組むことをおすすめします。
生まれたばかりの赤ちゃんは、お口の中に虫歯の原因菌を持っていません。虫歯菌は、お母さんなど周囲の大人からうつることが最も多いです。
また、妊婦さんが歯周病の場合、早産・流産・低体重児のリスクが高くなるという報告もあります。安全な出産とお子様の健康のためにも、妊娠中から歯科治療・お口のケアに取り組むことをおすすめします。
CRASP(caries risk assessment share with patient)は、日本ヘルスケア歯科学会により作成されたカリエスアセスメントツールで、虫歯になるリスクを評価できます。
当院では初診時だけでなく継続してこのツールを用い、生活習慣・口腔衛生・虫歯の有無などを経年的にモニタリングしています。リスクの変化を把握できるため、適切な対処につなげることが可能です。
虫歯になるリスクは下がりますが、絶対に虫歯にならないわけではありません。虫歯予防では、①フッ化物の使用②日々のセルフケア③歯科医院での定期的なクリーニング、この3つが揃って初めて予防が可能になります。フッ化物の使用方法やセルフケアについては受診時にしっかりご説明します。
また定期検診を続けることで、虫歯ができた場合でも初期段階で対処しやすくなります。
虫歯のリスク評価、歯周ポケットの有無、クリーニング時の出血の有無、歯周病の進行具合などをもとにリスクを診断し、通院間隔を決めます。
リスクが高い方は1〜2ヶ月、低い方は3〜4ヶ月に1回程度の通院をおすすめしています。
非常に有効です。フッ素による虫歯予防効果は複数の研究で検証され、適切な使用量も実験で示されています。適切に使用することで安全性も確認されています。
またフッ素は子供だけでなく、大人でも効果が期待できます。
適切なブラッシングによるセルフケア、フッ化物配合歯みがき剤の使用、虫歯・歯周病になりにくい生活習慣の改善などがあります。当院では患者様ごとに適切な方法を指導します。
痛みの感じ方には個人差がありますが、歯の上に付着した歯石除去では痛みは少ないことが多いです。
歯周ポケット内の歯石を除去する際に痛みを感じる場合がありますが、その場合は事前に麻酔を行ってから処置しますのでご安心ください。
日々の歯みがきや歯石除去の際に痛み・出血がある場合、歯ぐきの炎症(歯肉炎)の可能性があります。柔らかめで毛先が細い歯ブラシに変え、丁寧な歯みがきを心がけてください。